【生物基礎】世界のバイオーム 理論とイメージで覚えよう

世界のバイオームの概要生物の多様性と生態系
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今回は、世界のバイオームの図とその考え方を紹介します。

よく「覚えるしかない」と言われますし、確かに植物名も含めて覚えることが多く見えるのは確かですが、バイオームはその見方・考え方を知ると覚えるのも楽になり、応用も効くようになりますよ!

日本のバイオームについてはこちらの記事をご覧ください。

バイオームの図

皆さんも確実に見覚えがあると思います。バイオームの図ですね。

バイオームというのは、「そこに生息する植物(植生)」と「そこに生息する動物」を合わせた概念です。ですが、一般的には「植生」のことしか書かれないことが多いです。
というのは、「植生」が決まると、その環境に適応して生息する動物の種類が決まってくるからですね。

さて、バイオームは森林」と「草原」と「荒原」の3つに分けて考えるとわかりやすいです。

中でも、「森林」を形成するためには、水分が一定レベル必要であるので、年間降水量が1000mm以上というのが一つの目安になります(気温が低ければ降水量は少なくて済みます)。

「草原」はその名の通り草が生えています。ということは、ここも少しは降水量が必要ですね。年間200mm以上1000mm以下が目安です。
「荒原」になると、ほとんど植物がいないような環境になりますので、「荒原」の降水量は極めて少なく、年間200mm以下とされています。

したがって、バイオームの上部はすべて森林となり、その下に草原、荒原となっていくという大まかな分け方ができます。

森林のバイオーム

森林のバイオームでは、降水量と気温から想定される環境を踏まえて理解すると覚えやすくなると思います。

熱帯多雨林

熱帯多雨林ってこんなイメージですよね。ブラジルのジャングルって感じ。年間降水量も多く、年平均気温も高いので、植物は光合成をたくさん行い成長します。
まさに生い茂っているという表現がよく似合います。
植物は高く成長し、葉も良く生い茂ります。その分、地上にはあまり光が届かずに薄暗いです。
また、大量の雨によって地表の栄養が洗い流されてしまうので、土壌はあまり豊かではありません。

具体的な地名としては、ボルネオ(インドネシア)、アマゾン(ブラジル)などが挙げられます。

植物名では、フタバガキ、つる植物、着生植物、ランなどがあります。

フタバガキは「双羽柿」と書きます。フタバガキの実に羽の形をした”がく”がついており、それが名前の由来です。高所からこの実が落ちると、実がより遠い場所に落ちるようになっています。
つる植物はより少ないエネルギーで光の届く場所まで伸びることができ、熱帯多雨林の環境によく適しています。
着生植物は、樹木や岩石などに付着する植物の事です。わざわざ自分で地面から伸びなくても、高いところにあるものに付着すればよいので、これもあまりエネルギーを使わずに光の届く場所で生活できます。

亜熱帯多雨林

亜熱帯多雨林熱帯多雨林よりもやや気温が低く、年間降水量もやや少ない亜熱帯領域に成立するバイオームです。

一応バイオームとしては異なるものになりますが、その境界はあいまいです。両方に共通して生息する生物も多いです。ですので、バイオームの図では熱帯多雨林にまとめられます。

具体例としては沖縄が良く挙がります。

亜熱帯多雨林ではマングローブ、ガジュマルなどがあります。

マングローブは一度は聞いたことがあるでしょう。浅瀬の中から生えているあの樹木です。
ガジュマルは沖縄でよく見かける樹木です。
幹が枝分かれして複雑に絡みつく、独特な見た目をしています。

雨緑樹林

雨緑樹林は熱帯・亜熱帯に見られるバイオームです。年平均気温は高いですが、乾季・雨季があるため年平均降水量は熱帯多雨林よりは少し低くなります。
乾季にはほとんど雨が降らないという厳しい環境になるため、雨緑樹林の植物は乾季になると落葉します。葉の表面からの水分損失を防ぐためです。
季に葉をつけ色になるので、「雨緑樹林」という訳ですね。

雨緑樹林では落葉広葉樹が発達しています。写真でもよく見ると、地面に落ち葉が溜まっているのが見えますね。

樹木名ではチークが代表的です。

チークは東南アジアやインド原産の木で、耐久性があり木材として非常に優秀な樹木です。

照葉樹林

割と見慣れた里山の風景という感じですね。このバイオームは熱帯多雨林よりもちょっとだけ水不足となる環境です。
照葉樹林たちは、なるべく葉からの水分損失を防ぐために、葉をクチクラ層でコーティングするという手段を取りました。クチクラ層があると葉にツヤがあるように見えるため、「照葉樹林」という名になっています。

照葉樹林では常緑広葉樹が主に発達しています。
植物例では、シイ、カシ、クスノキ、タブノキなど、日本でもよく見られる樹木が代表的です。

夏緑樹林

このバイオームでは照葉樹林よりもさらに降水量が少なくなり、年平均気温も落ちていきます。日本でいうなら東北地方くらいのイメージです。
更に、冬季はあまり日光を浴びることができない環境で、光合成の効率が落ちるのが特徴です。
夏緑樹林たちは、冬季には落葉するという選択をしました。葉をつけておくということは、それだけで栄養分やエネルギーを使用するため、光合成があまりできないならばいっそのこと葉を捨ててしまおうという訳ですね。
に葉があり色に見えるので、「夏緑樹林」という訳ですね。

夏緑樹林では落葉広葉樹が発達しています。秋に紅葉して落葉する樹木が多いですね。ミズナラやカエデ、ブナ、カタクリなどが代表的です。

針葉樹林

このバイオームはさらに年平均気温が下がります。ということは雪も沢山降る環境です。
大きな広い葉をつけていると、雪が葉に積もって枝が折れたりしてしまいます。ですので、針葉樹林たちはのようにとがったをつけ、雪が積もらないようにしています。

針葉樹林」という名称は、そのまま葉の形から来ています。樹木の例としては、エゾマツ、トドマツ、ヒノキ、シラビソ、トウヒあたりが代表的です。要はマツとヒノキです。

シラビソは漢字で書くと「白檜曽」。トウヒは漢字で書くと「唐檜」。
どちらにも檜(ヒノキ)の字が入っています。ヒノキというよりはマツの仲間ですが、見た目が似ていたのか檜(ヒノキ)の字を当てていますね。

硬葉樹林

硬葉樹林だけ、図の中で不思議な位置にいますね。このバイオームは「地中海性気候」で成立します。つまり、「夏に涼しく乾燥していて、冬に暖かく湿潤である」という気候です。日本とは正反対ですね。

このように夏と冬の気候の違いはありますが、年間の平均気温や降水量は照葉樹林や夏緑樹林と同じくらいになります。ですので照葉樹林や夏緑樹林と似たポジションに位置するということです。しかし、気候自体は違うため、区別して表記されます。

地中海性気候の地域は、例えばギリシャやイタリア南部、スペインなど、リゾート地であることが多いです。リゾートではオリーブやワインを楽しみますね。硬葉樹林の代表的な樹木はコルクガシ(ワインのコルクの原料です)やオリーブ、ゲッケイジュ、ユーカリなどがあります。

草原のバイオーム

続いて、草原のバイオームです。サバンナもステップも、なんとなく似たイメージで混同しがちですが、イメージも含めて把握してみましょう。

サバンナ

熱帯地域の草原の中で、年間降水量が1000mm以下がサバンナです。
気温が高く、降水量が森林を形成するのには足りない、という特徴を持つバイオームです。熱帯草原とも呼ばれます。イメージ的にはアフリカ。もしくはライオンキング。

主にイネ科の草本が大半を占めますが、低木も生育可能であるため、アカシアの樹木が点在しています。

ステップ

温帯地域の草原で、年間降水量が1000mm以下がステップです。
気温がサバンナほど高くないので低木が生育できないため、ここは完全に草原です。温帯草原ともいわれます。イメージ的にはモンゴル

イネ科の草本がメイン。低木はほとんどありません。

ちなみにステップというのは、厳密には東アジアの温帯草原を指します。北アメリカの温帯草原はプレーリー、南アメリカの温帯草原はパンパと呼ばれます。別の名称が出てきても反応できるようにしましょう。

荒原のバイオーム

最後に荒原のバイオームです。どちらも特徴的なので、比較的理解しやすいかなと。

砂漠

雨が少なく乾燥したバイオームです。年間降水量が200mm以下という特徴があります。もっともイメージしやすいですよね。

一年生草本が多く存在しますが、多くは種の状態で乾燥した環境に耐えています。たまに雨が降ると発芽・結実し、再び種を作り乾燥に耐えるというサイクルです。
あとはサボテンなどの多肉植物も存在します。

ツンドラ

気温がとても低いバイオームです。基本的に一年中地面が凍結している永久凍土の上に発達します。

地表にはコケ植物や地衣類くらいしか生育できません。

なぜ日本のバイオームは主に森林なのか?

さて、ここまで世界のバイオームを見てきましたが、ここで日本のバイオームの特徴についても少しだけ解説します。

日本は降水量の多い国です。日本の年降水量は1718mmであり、森林を構成するのに十分な降水量が確保できます。

もちろん、地方によって年平均気温が異なるため、森林の種類は変化しますが、日本のバイオームは主に森林であるといえます。

日本のバイオームについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

まとめ

バイオームの紹介でした。完全に暗記するような分野ではありますが、このように少し特徴をとらえながら整理していくと覚えやすいかなと思います。

確り覚えられさえすれば、安定して得点できる分野なので頑張りましょう!

それでは!

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