【生物基礎】免疫と病気 アレルギー、自己免疫疾患、免疫不全

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今回は免疫が関係する病気について紹介します。

ヒトは免疫反応によって病原体などの異物から身を守っていますが、免疫反応が過剰に現れたり不足したりすることにより、身体には様々な影響が現れます。

免疫反応が過剰に起こるのがアレルギー自己免疫疾患免疫反応が不足してしまうのが免疫不全です。

それぞれ細かく見ていきましょう。

アレルギー

異物に対して過剰な免疫反応を起こすことをアレルギーといいます。

アレルギーには、体液性免疫によるアレルギーと、細胞性免疫によるアレルギーがあります。

アレルギーというのは、「異物に対して過剰な免疫反応を起こす」現象を指します。

それに対してアレルギー疾患という用語があります。これは、「体外の異物に対するアレルギーが原因で起こる病気」を指します。

更に後述する自己免疫疾患は、「体内の異物に対するアレルギーが原因で起こる病気」を指します。

特にアレルギー(現象)とアレルギー疾患(病気)は混同されがちなので気をつけましょう。

体液性免疫によるアレルギー

アレルギーには、Ⅰ型アレルギー、Ⅱ型アレルギー、Ⅲ型アレルギー、Ⅳ型アレルギーと種類分けがなされています。そのうち、Ⅰ型~Ⅲ型が体液性免疫によるアレルギーです。

Ⅰ型アレルギーは、即時型アレルギーアナフィラキシー型アレルギーとも呼ばれ、症状が現れるまでの時間15分~30分程度と短いことが特徴です。Ⅰ型アレルギーでは、IgEと呼ばれる抗体が肥満細胞(マスト細胞)に結合している状態です。この状態で抗原が侵入してくると、肥満細胞に結合しているIgE抗体に抗原が結合し、肥満細胞からヒスタミンが分泌されます。ヒスタミンが分泌されることで、平滑筋の収縮や血管壁の拡張、様々な成分の分泌促進など、身体にとって不都合なアレルギー症状が出現します。

Ⅱ型アレルギーは、細胞傷害型とも呼ばれています。IgGやIgMといった抗体が細胞を攻撃することにより、自己免疫疾患と呼ばれる症状を発症します。主に赤血球、白血球、血小板、リンパ球などの血液細胞が標的となるケースが多いようです。

Ⅲ型アレルギーは、免疫複合体型と呼ばれます。IgGやIgMといった抗体が抗原に結合し、抗原抗体複合体を形成する際に、血管や組織にくっついてしまい、そこを狙って好中球などが食作用を起こしてしまうことで細胞を傷つけてしまうものです。

花粉症

花粉症はアレルギー疾患の一種です。体液性免疫によるⅠ型アレルギーで、花粉がアレルゲン(抗原)として免疫システムに認識されて起こるアレルギーです。

花粉のタンパク質が粘膜に流出し、その花粉のタンパク質に対してB細胞がIgE抗体を産生するとIgE抗体と肥満細胞が結合した状態になります。再び同じ花粉が侵入した来た時に、肥満細胞に結合しているIgE抗体と、抗原としての花粉タンパク質が結合し、肥満細胞からヒスタミンが分泌されることでアレルギー反応が起こります。

アナフィラキシー

体液性免疫によるⅠ型アレルギーのうち、抗原(アレルゲン)が2回目に入った時に特に激しく強力なアレルギー症状が出るものを指します。特に症状が重く、血圧の低下や意識障害、呼吸困難などを引き起こす場合をアナフィラキシーショックとも呼びます。

ハチの毒によるアナフィラキシーショックが有名ですね。

細胞性免疫によるアレルギー

Ⅳ型アレルギーは、細胞性免疫によるアレルギーに分類されます。これまでのⅠ型~Ⅲ型アレルギーに比べ、症状が現れるまでの時間が長いことから、遅延型アレルギーとも呼ばれることがあります。

抗体が関与しないタイプのアレルギーであり、T細胞やマクロファージが関係するものが多いのも特徴です。

ツベルクリン反応

ツベルクリン反応は、結核にかかったことがあるか、もしくはかかっているかどうかを調べるために利用されるアレルギー反応の一種です。

結核菌を分解したものを投与し、もしも結核にかかったことがある、もしくはかかっている場合は、細胞性免疫により皮膚が赤く腫れるという弱いアレルギー反応が見られます。その場合はすでに結核に対する免疫記憶を有していると判断できます。

しかし、反応が無い場合には結核に対する免疫が無いと判断されるため、BCG(ウシ型の結核菌)を予防接種として注射することで免疫記憶をつくります。

移植拒絶反応

移植拒絶反応は、別の個体やヒトから移植された臓器や器官などが、非自己であるとみなされ、移植した個所から脱落してしまう現象を言います。これは、細胞性免疫にかかわるキラーT細胞が、移植されてきた臓器や器官を攻撃してしまうことが原因です。

自己免疫疾患

自己免疫疾患は、体外の異物を認識し排除するための抗体が、自分自身の正常な細胞や組織に対して反応して攻撃してしまうことで生じる病気です。このように自己を攻撃してしまう抗体を自己抗体と呼びます。

免疫産生細胞になるB細胞に対する免疫寛容が、何らかの理由で破綻してしまうのが原因です。

アレルギーに分類すると、Ⅱ型やⅢ型に分類されるものが多いです。

自己免疫疾患は、全身に影響が及ぶ全身性自己免疫疾患と、特定の臓器や部位が影響を受ける臓器特異性疾患の2種類に分けられます。

全身の関節にある細胞を攻撃するリウマチ、多臓器を攻撃する全身性エリテマトーデスは全身性自己免疫疾患。
筋肉組織を攻撃する重症筋無力症、甲状腺を攻撃することによって甲状腺の働きが過剰になるバセドウ病、輸血された血液を攻撃する溶血性貧血は臓器特異性疾患に分類されます。

免疫不全

免疫不全は、免疫システムが何らかの原因により十分に働かなくなってしまった状態を指します。先天的(生まれながらにその状態であった)な免疫不全と後天的(生まれた後にその状態になった)な免疫不全があります。

免疫不全の状態になってしまうと、通常の免疫システムが働いていれば症状が現れないような、比較的弱い細菌やウイルスによっても症状が現れてしまいます。この状態を、日和見感染と呼んでいます。

エイズ(AIDS)

エイズは、後天性免疫不全症候群(Acquired Immune Deficiency Syndrome; AIDS)とも呼ばれるもので、ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus; HIV)により、ヘルパーT細胞が破壊されてしまうことで発症する免疫不全の一種です。

ヘルパーT細胞は、細胞性免疫においても体液性免疫においても、免疫システムを活性化させるために重要なポジションを担っています。

まとめ

免疫が関与する病気について紹介してきました。

比較的、どこかで聞いたことがあるような内容も多かったのではないでしょうか?医学系や医療系の大学を志望される場合は、このあたりの知識も結構問われることがありますので、是非抑えておきましょう!

それでは!

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