【生物基礎】ABO式血液型

体内環境の維持
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体液性免疫が関与する現象のうち一つがABO式血液型による赤血球の凝集反応です。

ABO式血液型は、細胞の構成や遺伝でも登場する言葉ですね。輸血する際に、A型の血液をO型の人に輸血してはダメだけど逆はOKとかの話を聞く…ことはあまりないかもしれませんが、知っておいて損はないですし、何より高校生物においては重要知識ですのでまとめていきましょう。

ABO式血液型

ヒトの血液型の分類方法としてABO式血液型というものがあります。日本では最もよく知られた血液の分類方法で、血液型をA型、B型、O型、AB型の4種類に分けるものです。その分類の基準は、赤血球の表面にある凝集原と呼ばれる抗原の種類になっています。

赤血球の表面には凝集原と呼ばれる抗原が存在しています。凝集原には、A凝集原とB凝集原の2種類があります。
A型の血液型の赤血球には、A凝集原があります。
B型の血液型の赤血球には、B凝集原があります。
O型の血液型の赤血球には、どちらの凝集原もなく、
AB型の血液型の赤血球には、A凝集原とB凝集原の両方が存在します。

更に、血清中には、凝集原に対して働く凝集素と呼ばれる抗体が存在しています。凝集素には、α凝集素とβ凝集素の2種類があります。
A型の血液型の血清には、β凝集素があります。
B型の血液型の血清には、α凝集素があります。
O型の血液型の赤血球には、α凝集素とβ凝集素の両方があり、
AB型の血液型の赤血球にはどちらも存在しません。

凝集素は抗体ではありますが、赤血球を破壊するほど強力なものではなく、赤血球同士を凝集させるくらいの能力を持っています。その為、凝集素という名前がついています。

ちなみに、血液型にはABO式血液型以外にもたくさんの種類があります。
最も有名なのはRh式血液型で、18通り以上の型があるといわれているタイプです。その他、MNSs式、P式、ルセラン式、ケル式など多種多様です。

Rh式は赤血球膜の抗原に反応するかどうかにより、+型と-型に分類する血液型、
MNSs式は抗体の種類によりM型、MN型、N型に分類する血液型、
P式は抗体の種類によりP1、P2、P1K、P2K、pに分類する血液型、
ルセラン式は抗体の種類によりLu(a+b-)、Lu(a+b+)、Lu(a-b+)、Lu(a-b-)に分類する血液型、
ケル式は抗体の種類によりK+とK-に分類する血液型です。

赤血球の凝集反応

さて、赤血球がどのようにして凝集してしまうかというところに入りましょう。赤血球の凝集反応は、A凝集原とα凝集素が、もしくはB凝集原とβ凝集素が出会うことにより、抗原抗体反応が起きて凝集を起こします。

例えば、A型の赤血球とB型の血清を混合すると、赤血球の凝集反応が見られます。これは、A型の赤血球がA凝集原を、B型の血清がα凝集素を含んでいるからです。

輸血の可否

さて、このような血液型の特性を踏まえた上で、輸血可能な組み合わせについて確認していきましょう。

同じ血液型同士であれば、問題なく輸血が可能です。

しかし、異なる血液型の場合は、輸血が可能な場合と不可能な場合が別れます。

O型の血液は、A型、B型、AB型のヒトにも輸血することが可能です。O型の血液には凝集原が含まれていないため、いずれの血液型にも輸血することが可能です。

逆にAB型の血液は、AB型に対してのみ輸血が可能です。AB型の血液にはA凝集原とB凝集原が両方含まれているため、他のどの血液型に輸血しても赤血球の凝集反応が起きてしまうためです。

輸血の可否については上の表にまとめたとおりです。

ちなみに、現在では基本的に同じ血液型同士でしか輸血は行われません。血液型にはABO式血液型以外の種類もあり、ABO式血液型以外の要素によって凝集を起こすこともあるため、必ず輸血前に適合試験を行います。その為、わざわざリスクを冒してまで違う血液型を輸血することはない、ということですね。

まとめ

ABO式血液型と輸血の組み合わせについてまとめてきました。

ちなみに、日本ではABO式血液型が性格診断に用いられることがありますが、これは日本特有のもので、特に科学的な根拠もないそうです。

日本人は比較的B型やAB型が多い民族であるため、このような性格診断が成り立ったといわれています。世界には、A型とO型がほとんどを占めている民族なども実在します。詳しくはこちらをご覧ください。

また、ABO式血液型の遺伝問題についてはこちらをどうぞ。

それでは!

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