【高校生物】細胞の構成成分

生物と分子
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今回は、細胞を構成する成分についてまとめていきましょう。

すでに、生物を構成する最小単位が細胞であることは知ってますよね!それでは、その細胞がどのような成分からできているか、まとめていきましょう。

細胞の構成成分と構成元素

まずは細胞がどのような成分で構成されているかを見てみましょう。

高校生物では、生物を構成する成分と、その中に含まれる元素について、以下の6種類が主に紹介されています。

念の為追記しますと、Cは炭素、Hは水素、Oは酸素、Sは硫黄、Pはリン、Naはナトリウム、Clは塩素、Kはカリウム、Caはカルシウム、Feは鉄ですね。

水の役割は大きく分けて3つあります。

一つ目に、様々な物質の溶媒となる、ということです。水が身近過ぎて意外かもしれませんが、常温で液体であり、何かを溶かし込むことができる成分というのは非常に限られています。様々な物質が解けた水は化学反応の場ともなります。細胞というのは、その中で様々な化学反応を起こす場でもあります。化学反応の場を提供するという意味でも水は重要なのですね。

二つ目に、凝集力がある、ということです。化学的にいうと、水素結合によって水分子が繋がっている、という状態です。この特性により、水を介して物質の輸送ができるようになったり、水そのものを体内で輸送したりできるようになる、ということもあります。

三つ目に、比熱が大きいということがあります。つまり、「温度変化が緩やか」ということです。これにより、細胞内の急激な温度変化を抑制することが可能です。恒常性という言葉で理解しても良いでしょう。

タンパク質

タンパク質の構成単位はアミノ酸です。アミノ酸の種類は20種類あります。

この20種類のアミノ酸が、どの種類がいくつ並び、どのような構造を取るかによってタンパク質の特徴は決まっていきます。

生物の体内で働くタンパク質は非常に多様です。アミラーゼやペプシンといった消化酵素に、ヘモグロビンのように酸素を運搬するもの、コラーゲンのように身体を構成するもの、イメージ通りの筋肉まで、様々です。

炭水化物

炭水化物糖質とも呼びます。高校生物では、以下の図に登場する糖質を覚えておけばいいでしょう。

炭水化物はすべて単糖類が繋がってできたものです。単糖が二つ繋がれば二糖類、沢山繋がれば多糖類となります。

ちなみに、スクロースはグルコースとフルクトースが繋がったもの、ラクトースはガラクトースとグルコースが繋がったもの、マルトースはグルコースが二つ繋がったものです。

炭水化物の主な機能は、エネルギーの貯蔵です。また、デオキシリボースリボースは核酸を構成する糖類、セルロースは細胞壁の主成分です。

脂質

高校生物で登場する脂質には4種類あります。

脂肪

脂肪は、グリセリン(グリセロール)に脂肪酸が3つ結合している構造をしています。別名トリグリセリドとも言いますが、脂肪酸が3つ結合したグリセリン、という意味です。同様に、脂肪酸が2つ結合したタイプをジグリセリド、脂肪酸が1つ結合したタイプをモノグリセリドと呼びます。

ヒトの体内で脂肪が消化吸収される際は、トリグリセリドが脂肪酸2つとモノグリセリドに分解されます。吸収した後は、2つの脂肪酸とモノグリセリドがもう一度結合し、トリグリセリドに戻ります。

リン脂質

リン脂質は、グリセリンに2つの脂肪酸と1つのリン酸化合物が結合している構造をしています。脂肪の3つの脂肪酸のうち、1つがリン酸化合物に変化しているような感じです。

リン脂質の特徴としては、脂肪酸部分が水になじみにくい(脂質になじみやすい)疎水性領域になっており、グリセリンとリン酸化合物部分が水になじみやすい(脂質になじみにくい)親水性領域となっていることです。このように1つの分子の中で疎水性・親水性の両方の領域を持っていることから、細胞膜や核膜などの生体膜を構成する物質となっています。

ステロイド

ステロイドは、ある特定の化学構造を持つ物質の総称です。

高校生物ではステロイドホルモンとして登場します。糖質コルチコイド、鉱質コルチコイド、エストロゲンはステロイドホルモンに分類されるものです。ステロイドホルモンの特徴としては、脂質で構成されているという理由から、膜を通過しやすいということがあります。そのため、ステロイドホルモンの受容体は細胞内や核内に存在するケースが多いです。

ちなみに、ペプチドホルモンは主にタンパク質でできたホルモンですが、これは膜を通過しにくいので、ペプチドホルモンの受容体は膜状にあるケースが多いです。

糖脂質

糖脂質は、脂質に糖類が繋がったような構造をしています。主に細胞膜上に存在します。高校生物で取り扱われる糖脂質は、主に赤血球上に存在する凝集原でしょう。ABO式血液型を決定するのが、この糖脂質からできた凝集原です。

無機物

無機物は有機物の対義語ですね。基本的に炭素を含まない物質や化合物を指します。ただし一酸化炭素(CO)や二酸化炭素(CO2)などは例外的に無機物とカウントします。

様々な酵素の活性中心となっていたり、細胞内の化学反応に関わるなど、非常に多様な働きをします。ここでまとめるには多様過ぎるので、その都度覚えましょう。

核酸

核酸にはDNA(デオキシリボ核酸)とRNA(リボ核酸)があり、どちらもヌクレオチドという構成単位から成っています。

DNAは2本のヌクレオチド鎖が二重らせん構造を成した物質で、生物の遺伝情報を記録するという役割を担っています。RNAは1本のヌクレオチド鎖から成り、遺伝情報を発現する際や、一部のウイルスの遺伝情報を記録するのにも使用されます。

生物種ごとに細胞の構成成分は異なる

さて、生物種ごとに、それぞれの成分がどのくらい含まれているかを表したのが以下の図です。

生物の種類によって、構成成分が微妙に変わるのが分かりますね。

原核細胞は、核酸の占める割合が比較的大きいのが特徴です。核酸については、原核細胞は大きさがかなり小さいものが多いので、その分核酸が占める割合が大きくなるという傾向があります。

動物細胞は…特にこれといった特徴はありませんね。しいて言うなら、タンパク質と脂質が多め、炭水化物が少なめといった感じでしょうか。脂質が多めなのは、体内にエネルギー源として脂肪を蓄えるからですね。

植物細胞では、炭水化物が多めなのが特徴的です。植物細胞には細胞壁がありますが、この細胞壁は炭水化物でできているからですね。

まとめ

細胞の構成成分や構成元素、生物種ごとの細胞の構成成分をまとめました。

高校生物の基礎となる知識ではありますが、様々な分野と繋がっていたり、意外と深堀すると発展的な内容になったりする部分です。

基礎だからといってなおざりにせず、時々知識をアップデートしていくとよいでしょう。このページも時々追記修正していきたいと思っています。

それでは!

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