【生物基礎】日本のバイオーム 南北と標高で分けて考えよう

生物の多様性と生態系
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今回は日本のバイオームと水平分布、垂直分布について解説していきます。

皆さんが住んでいる地域の様子をイメージしながら読み進めていってください。

世界のバイオームについてはこちらの記事をご覧ください。

日本のバイオームの特徴

バイオームは年間降水量と年平均気温で決まります。

日本は降水量の多い国です。日本の年降水量は1718mmであり、森林を構成するのに十分な降水量が確保できます。

地方によって年平均気温が異なるため、年平均気温によって森林の種類は変化します。この年平均気温を南北で見るか、それとも標高で見るかによってバイオームが変化していきます。

水平分布

日本は南北に細長く分かれた国です。ということは南北の変化、つまり緯度の変化によって年平均気温が変わり、それに伴いバイオームが変化していきます。

日本では大まかに、北から針葉樹林→夏緑樹林→照葉樹林→亜熱帯多雨林の順で分布しています。
緯度の高い方から、すなわち気温が低い方から順番にバイオームが分布していると考えればよいでしょう。

このように、気候の水平方向の変化(緯度の変化)に応じたバイオームの変化を水平分布と呼びます。

垂直分布

緯度の変化に応じてバイオームが変化することを水平分布と呼びますが、バイオームの変化はもう1パターンあります。

それが垂直分布です。垂直分布は標高の変化に応じてバイオームが変化することを指します。

高い山の上では気温が下がりますね。一般的に、標高が100m上がるごとに気温は0.6℃低下します。つまり、同じ地域でも標高によって気温が変わるため、標高が高くなればなるほど、北方向に似たバイオームが登場してくるということです。

本州中部を例にとってみると、標高による区分は以下の表のようになります。

標高ごとに名称がついていますね。海抜0m~700mを丘陵帯、700m~1700mを山地帯、1700m~2500mを亜高山帯、2500m以上を高山帯と呼びます。

標高の低い丘陵帯には照葉樹林が見られます。

そこから徐々に標高を上げていきましょう。標高700m~1700mである山地帯に達すると、気温は4.2℃~10.2℃下がります。すると、照葉樹林よりも寒い地域に分布するバイオームである夏緑樹林が見られるようになります。

更に標高が上がり、標高1700m~2500mである亜高山帯に達すると、気温は10.2℃~15.0℃下がります。するとさらに寒い地域のバイオームである針葉樹林が見られるようになります。

そして標高2500m以上の高山帯では、気温は15.0℃以上下がります。すると、森林を形成する条件の一つである年平均気温-5℃以上が満たされないほど寒くなり、また風も強くなるため森林が形成できなくなります。そのようなエリアでは森林の代わりに高山草原(お花畑)と呼ばれるバイオームが形成されます。

高山草原では植物が生育できる時期が主に夏の間と限定されています。その時期に植物が一斉に花を咲かせるため、「お花畑」という呼称がつけられています。なんだかファンシーですが、れっきとした専門用語です。
英語ではalpine tundra、つまり「高山ツンドラ」と呼んだりもするそうです。

このように、ある程度の標高に達すると気温などの条件が悪化し、森林が形成されなくなります。森林が形成されなくなる標高のことを森林限界と呼びます。
注意すべき点として、森林限界は地域によって異なるということがあります。例えば地表の年平均気温が20℃の地域と10℃の地域では、森林限界に達する標高は異なります。

同じエリアでも、北側と南側では、北側の方が日が当たらず気温が下がる傾向にあり、南側は日が良く当たり気温が上がる傾向にあります。その為、南向きの斜面より北向きの斜面の方が、植生の境界になる標高は低めになる傾向があります。

水平分布と垂直分布を合わせると

水平分布と垂直分布を合わせたような図表もよく見かけるので紹介しましょう。

縦軸は標高、横軸は南北を表し、右へ行くほど北を表しています。

特徴的な山をいくつか表示しておきました。

屋久島の最高峰は宮之浦岳と言います。屋久島はふもとが亜熱帯多雨林ですが、標高が上がるにつれて照葉樹林、夏緑樹林とバイオームが変化していきます。緯度は約30°くらいです。

富士山は先ほど紹介したような感じですね。ふもとは照葉樹林から始まり、夏緑樹林、針葉樹林、森林限界を経て高山草原に変化していきます。緯度は約35°地点ですね。

東北地方の鳥海山のふもとは夏緑樹林になっています。標高が上がると針葉樹林になり、2000m手前で森林限界を迎えます。これはふもとの気温がそもそも低いからです。緯度は約40°。

北海道の大雪山を見ると、ふもとは夏緑樹林ですがすぐに針葉樹林に入ります。その後1500m手前で森林限界を迎える、という感じです。緯度は43°。

森林限界を迎える標高、あるいはバイオームが変化する標高が北へ行くにしたがって低くなることがよくわかるかと思います。

まとめ

日本のバイオームと水平分布、垂直分布について解説しました。

皆さんが住んでいる地域がどんなところなのか、山に登ったことがある人はその様子を思い出しながら復習してみてください。

それでは!