【生物基礎】生体防御と物理的・化学的防御

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今回は、生体防御や物理的・化学的防御について紹介していきましょう。

物理的・化学的防御は、免疫システムの中での最初の防御機構です。意外と抜けがちなところでもあるので、まとめて抑えてしまいましょう。

生体防御の種類

まずは生体防御の種類についてまとめていきましょう。

生体防御には、異物が体内に侵入するのを防ぐ仕組み(物理的・化学的防御)と、
体内に侵入した異物を排除する仕組み(自然免疫適応免疫)とがあります。

物理的・化学的防御は、そもそも異物を体内に侵入させないための仕組みのことです。
自然免疫は生まれながらに持っており、体内に侵入した異物を攻撃する仕組みです。
また適応免疫は、生まれた後に機能を獲得するもので、これは体内に侵入した異物を感染した細胞ごと攻撃する仕組みです。

では、まずは物理的・化学的防御について見ていきましょう。

物理的・化学的防御

免疫システムというと、どうしても体内に入った異物に対する対応をイメージしがちです。しかし、そもそも異物を体内に入れなければ一番いいですよね?

免疫は大きく分けて3段階の防衛システムとなりますが、その第1段階が「物理的・化学的防御」です。すなわち、「侵入を阻止する」という防衛システムですね。

物理的防御

物理的防御では、皮膚と粘膜が主に働きます。

皮膚の表面は死細胞の角質層で覆われていて、異物を物理的にブロックすることにより侵入を阻止しています。

また、消化管や気管の粘膜粘液を分泌することによって異物の付着を防いでいます

更に、器官の粘膜では、細胞の表面にある繊毛が異物をかき出すような動きをすることによって異物を体外へ排出するようなこともしています。

化学的防御

化学的防御では、汗などの液体中にある化学物質や、体液のpHによる殺菌作用が働いています。

汗や涙にはリゾチームという酵素が含まれています。リゾチームは細菌の細胞壁を破壊する働きがあります。
また、皮膚や粘膜にはディフェンシンという抗菌物質があり、細菌の細胞膜を破壊する働きがあります。
これらの成分によって、皮膚や粘膜に付着した異物を不活性化することが可能です。

汗や皮脂には、皮膚表面を弱酸性(pH3~5)に保つ働きがあります。弱酸性の環境下では、細菌の分裂速度が低下するので、汗や皮脂によって細菌の繁殖を抑えることができています。
更に胃液はpH1.0という強酸性です。このような強酸性では、細菌などの異物は生存することが出来ません
こうした酸性条件によっても異物を不活性化することができます。

腸内での物理的・化学的防御

仮に腸内にまで異物である病原体が到達したとしても、もともと腸内に住み着いていた細菌類(腸内フローラと呼びます)によって、侵入してきた病原体の繁殖はある程度防ぐことができます。

外から病原体が侵入してきたとしても、もともと腸内にびっしりと細菌類が住み着いていれば、外から来た病原体が住み着くところがありません。またもともといた細菌類が外から来た病原体を排除しようとすることもあります。
腸内はよそ者に厳しい社会なんですね。

腸内フローラのフローラは、英語で「flora」、つまり「お花畑」の意味です。
腸内を観察すると、たくさんの微生物がまるで植物が群生している「お花畑( flora)」のようにみえることから、腸内フローラと呼ばれるようになりました。

まとめ

物理的・化学的防御についてまとめましょう。

物理的防御

  • 皮膚:異物を物理的にブロックして侵入を防ぐ
  • 粘膜:粘液を分泌して異物の付着を防ぐ
  • 繊毛:異物をかき出すように動き、異物を排除する

化学的防御

  • 酸性条件(汗、皮脂、胃液)
    ⇒病原体の繁殖を抑制したり、殺菌したりする。
  • リゾチーム(汗、涙)
    ⇒細菌の細胞壁を破壊する。
  • ディフェンシン(皮膚、粘膜)
    ⇒細菌の細胞膜を破壊する。

自然免疫についてはこちらの記事にまとめています。

適応免疫(獲得免疫)についてはこちらの記事をどうぞ。

それでは!

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