【高校生物】細胞膜を通過できる成分

生物と分子
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細胞は細胞膜によって外界と隔てられています。しかし、時には様々な成分を外界とやり取りしなければなりません。その際、どのように必要な成分だけを細胞膜を通して行き来させるかが重要になってきます。

今回は細胞膜のがどのような物質を通過させるのかについて解説していきます。

基礎的な知識ではありますが、このあたりのイメージが確りしているとチャネルやポンプなどの物質輸送の話が分かりやすくなりますよ!

細胞膜は小さな分子しか通れない

細胞膜は脂質二重膜という構造でできています。リン脂質が二重構造になったような構造ですね。

ということは、細胞膜は基本的に脂質でできているということです。

さて、疎水性な物質は水に溶けにくい(馴染みにくい)ですが、親水性の物質も同様に脂質に富む環境には溶けにくい(馴染みにくい)です。ということは、親水性の物質は脂質でできた細胞膜を通過しにくいということが言えます。
また、脂質に馴染みやすい疎水性の物質も、分子が大きければ細胞膜を通過することはできません。

これをまとめると、分子が小さく、脂溶性が高い(疎水性あるいは非極性である)ものほど、細胞膜を通過しやすく
分子が大きかったり、水溶性が高い(極性があるか電荷がある)ものは細胞膜を通過しにくいといえます。

これらの事実をまとめると、以下の図のようなことが言えます。

酸素分子(O2)や二酸化炭素(CO2)といった「非極性の低分子」は、脂質である細胞膜と馴染みやすいため、拡散により細胞膜を通過することができます。

極性分子でも、低分子のものは細胞膜を通過することができます。例えば水(H2O)やエタノール(CH3OH)は分子が十分に小さいので、細胞膜を通過することができます。
(ただ、非極性の低分子に比べると若干通過しにくくはなります)

しかし、極性分子でも分子量が大きいものは細胞膜を通過することができません。例えばグルコース(C6H12O6)やアミノ酸、ヌクレオチドなどは分子量が大きすぎるので細胞膜を通過できません。

更に、電荷を持つイオンや分子は、どれほど分子量が小さくても細胞膜をほとんど通過できません。電荷が水をひきつけ親水性が強い状態になってしまうためです。例えば、Na+やK+といった低分子でも、水の10億分の1程度しか細胞膜を通過できません。

つまり、水や非極性の低分子は細胞膜を簡単に通過することができますが、細胞にとって必要な栄養分や、細胞が排出したい廃棄物、イオンや糖、アミノ酸などの生命反応に必要な成分の多くが細胞膜を通れないということです。

このため、これらを輸送するための輸送タンパクが細胞膜上に必要になる、ということですね。

まとめ

細胞膜を通過できるもの、通過できないものについてまとめました。

細胞膜が意外と物質を通さないこと、そのため輸送タンパクが細胞膜上に必要であるということが理解できたのではないかと思います。

輸送タンパクの種類やその機能については、また別の記事でまとめていく予定です。

それでは!

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