【問題解説】伴性遺伝の問題の解き方 三毛猫ver.

三毛猫遺伝情報の発現
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今回は伴性遺伝に関する遺伝問題のうち、三毛猫に関する問題について解説していきましょう。

2019年のセンター試験に出題されたほか、過去にもちょくちょく二次試験で出題されているテーマです。
「オスの三毛猫は珍しい」とよく言われますが、その理由の一端が明らかとなるような生物学的にも面白いテーマです。難易度は高いですが、是非一度考えてみましょう。

例題

まずは例題です。長文です。

ネコはヒトと同様に、メスがXX型、オスがXY型の性決定様式である。

三毛猫は、白色・茶色・黒色の三色の体毛がまだらに生えているネコである。ネコの体毛の色は複数の対立遺伝子Aとa、Bとb、Hとhの3組により決定される。

遺伝子Aとaは白色遺伝子である。遺伝子型がAAやAaである個体は、他の遺伝子に関わらず全身の体毛が白色となるが、遺伝子型がaaである個体は他の遺伝子によって体毛の色が決まる。

遺伝子Bとbは茶・黒遺伝子である。遺伝子Bが発現している箇所の体毛は茶色になり、遺伝子型bが発現している箇所の体毛は黒色になる。また、遺伝子BとbはX染色体上に存在する。

遺伝子Hとhはまだら遺伝子である。遺伝子型がHHやHhである個体は、部分的に体毛が色素を含まない状態になる。そのため体の一部に色が無い(白い)部分ができ、白いまだら模様ができる。遺伝子型がhhの個体では、すべての体毛が色素を含む状態になるため、白いまだら模様を生じない。

また、ほ乳類のメスでは、受精卵が細胞分裂を繰り返して体細胞の数がある程度まで増えた段階で、それぞれの体細胞が有する2本のX染色体のうち一方がランダムに不活性化する。
つまり、ほ乳類のメスの細胞には、母親由来のX染色体が不活性化された細胞と、父親由来のX染色体が不活性化された細胞が存在することになる。

以下の問題に答えよ。なお、体毛の色を決定する遺伝子は、白色遺伝子、茶・黒遺伝子、まだら遺伝子の3組の対立遺伝子のみと考えてよい。

①三毛猫の遺伝子型について考察した以下の文章を読み、空欄に適する遺伝子型や毛の色を答えよ。

茶・黒遺伝子について考えると、メスのネコにはX染色体が2本あるため、遺伝子型はBB、Bb、bbの3パターンが考えられる。
白色遺伝子の遺伝子型がaaであり、まだら遺伝子の遺伝子型がhhである場合には、黒・茶遺伝子型が( 1 )の場合には体毛は茶色になり、黒・茶遺伝子型が( 2 )の場合には体毛は黒色になる。しかし、黒・茶遺伝子型が( 3 )の場合には体毛は茶色と黒色のまだら模様となり、茶色一色にはならず、また茶色と黒色の中間になることもない。これは片方のX染色体の不活性化が原因である。
また、白色遺伝子の遺伝子型がaaであり、まだら遺伝子の遺伝子型がHHの場合やHhの場合には、黒・茶遺伝子型がBBであれば体毛は( 4 )、黒・茶遺伝子型がBbであれば体毛は( 5 )、黒・茶遺伝子型がbbであれば体毛は( 6 )になる。

②メスの三毛猫の遺伝子型として考えられるパターンをすべて答えよ。

③基本的に、三毛猫はほとんどメスである。その理由を答えよ。

④あなたはオスの白猫とメスの三毛猫を飼っているとする。この2匹から16匹の仔猫が産まれ、そのうち1匹が三毛猫であった。親であるオスの白猫とメスの三毛猫の遺伝子型を答えよ。なお、白色遺伝子、茶・黒遺伝子、まだら遺伝子の3組の対立遺伝子は、それぞれ独立の関係にある。

問題文は長いし、難易度も結構高いです。初見で解き切るのはかなり難しいかもしれません。気合い入れ過ぎました。

解き切れなくても焦ることなく、じっくりと解説を読み込んでみてください!

三毛猫

ちなみに三毛猫はこんな感じのネコです。白色・茶色・黒色の毛がまだらに生えているのが分かるかと思います。

解き始める前に

まずは問題文中で説明された各遺伝子型とその特徴についてまとめておきましょう。
実際に問題を解く際も、問題文で説明された事柄をいったん自分でまとめなおすのはとても有効です。

遺伝子Aとaは白色遺伝子である。遺伝子型がAAやAaである個体は、他の遺伝子に関わらず全身の体毛が白色となるが、遺伝子型がaaである個体は他の遺伝子によって体毛の色が決まる。

遺伝子Bとbは茶・黒遺伝子である。遺伝子Bが発現している箇所の体毛は茶色になり、遺伝子型bが発現している箇所の体毛は黒色になる。また、遺伝子BとbはX染色体上に存在する。

遺伝子Hとhはまだら遺伝子である。遺伝子型がHHやHhである個体は、部分的に体毛が色素を含まない状態になる。そのため体の一部に色が無い(白い)部分ができ、白いまだら模様ができる。遺伝子型がhhの個体では、すべての体毛が色素を含む状態になるため、白いまだら模様を生じない。

この問題文で説明されていることを表にまとめると、このようになります。

三毛猫に関する遺伝子を整理する

それぞれの遺伝子の特徴をしっかりと把握したうえで、それぞれの問題に臨みましょう。

①の解き方

①三毛猫の遺伝子型について考察した以下の文章を読み、空欄に適する遺伝子型や毛の色を答えよ。

茶・黒遺伝子について考えると、メスのネコにはX染色体が2本あるため、遺伝子型はBB、Bb、bbの3パターンが考えられる。
白色遺伝子の遺伝子型がaaであり、まだら遺伝子の遺伝子型がhhである場合には、黒・茶遺伝子型が( 1 )の場合には体毛は茶色になり、黒・茶遺伝子型が( 2 )の場合には体毛は黒色になる。しかし、黒・茶遺伝子型が( 3 )の場合には体毛は茶色と黒色のまだら模様となり、茶色一色にはならず、また茶色と黒色の中間になることもない。これは片方のX染色体の不活性化が原因である。
また、白色遺伝子の遺伝子型がaaであり、まだら遺伝子の遺伝子型がHHの場合やHhの場合には、黒・茶遺伝子型がBBであれば体毛は( 4 )、黒・茶遺伝子型がbbであれば体毛は( 5 )、黒・茶遺伝子型がBbであれば体毛は( 6 )になる。

どの条件でも白色遺伝子の遺伝子型がaaであることを見逃さないようにしましょう。
遺伝子型がaaであるため、ネコは全身白色になることはなく、他の黒・茶遺伝子やまだら遺伝子によって体毛の色が決まるということです。

そうした前提のもと、まずは遺伝子型hhをベースに考えてみましょう。

遺伝子型hhということは、白いまだら模様ができないということです。
その条件で、毛色が茶色ということは、問題文の説明より遺伝子型はXBXB(BB)ということになります。
また、毛色が黒色ということは、同様に考えて、遺伝子型はXbXb(bb)になりますね。
ここまでは問題文の内容に従えば比較的簡単にわかるかと思います。

茶色の体毛のネコと黒色の体毛のネコ

さて、茶・黒遺伝子の遺伝子型は3通りあるわけですが、残る一つである遺伝子型XBXb(Bb)が、茶色と黒色のまだら模様になります。
これは遺伝子Bや遺伝子bが含まれているX染色体のうち片方が不活性化されることによって、ある部分では遺伝子Bが含まれるX染色体のみが残り、他の部分では遺伝子bが含まれるX染色体のみが残るからです。

茶と黒のまだらのネコ

さて、次は遺伝子型HHHhをベースに考えていきましょう。

これらの場合には、色のついた体毛のうち、部分的に色が無い体毛ができる、つまり白いまだら模様ができるということを前提に考えていきます。

その条件で、黒・茶色遺伝子の遺伝子型がXBXB(BB)であるならば、茶色の体毛の中に部分的に無色の体毛が生えます。つまり茶色の中に白いまだら模様が見られるということになります。

黒・茶色遺伝子の遺伝子型がXbXb(bb)であるならば、黒色の体毛の中に部分的に無色の体毛が生えます。つまり黒色の中に白いまだら模様が見られるということになります。

茶と白まだらのネコ、黒と白まだらのネコ

更に、黒・茶色遺伝子の遺伝子型がXBXb(Bb)であるケースです。この時は、茶色と黒色のまだら模様に加えて、部分的に無色の体毛が生えます。つまり体毛としては茶色、黒色、白色が入り混じるようなパターンが見られます。これがいわゆる三毛猫ですね。

三毛猫
Answer

①の解答

( 1 )XBXB(BB) ( 2 )XbXb(bb) ( 3 )XBXb(Bb)
( 4 )茶色と白色  ( 5 )黒色と白色  ( 6 )茶色と黒色と白色(三毛猫)

遺伝子型HHやHhで見られる「無色の毛」は、色素が合成されない体毛ですが、実際のところは光が乱反射することで白色に見えます。

減数分裂の途中で染色体が正常に分配されず、正常とは異なる染色体数を持つ配偶子が生じる「染色体不分離」と呼ばれる現象が生じることがあります。常染色体の染色体不分離は致命的であり、ほとんどが胎児の段階で死亡しますが、性染色体の染色体不分離では成体まで成長することが多いです。これは、上記のような性染色体の不活性化により、1つの細胞に複数の性染色体があったとしてもその影響が少なくなるからと考えられています。

②の解き方

②メスの三毛猫の遺伝子型として考えられるパターンをすべて答えよ。

ある意味、①がヒントです。というか図に答えが書いてありますね笑

三毛猫は白色・茶色・黒色の3色の体毛を持つ猫です。
これは以下の3条件がそろうことによって成立します。

  • 遺伝子Aを持たない→遺伝子型aa
    (遺伝子Aがあると全身白色になってしまう)
  • 遺伝子Bとbを両方持つ→遺伝子型XBXb(Bb)
    (黒色の体毛と茶色の体毛の両方を持つ)
  • 遺伝子Hを持つ→遺伝子型HHHh
    (体毛の一部が無色(=白色)になる)

というわけで、この3条件が同時に揃う遺伝子型であればいいということですね。

Answer

②の解答

aaHHXBXbまたはaaHhXBXb(aaBbHHやaaBbHhとしてもよい)

③の解き方

③基本的に、三毛猫はほとんどメスである。その理由を答えよ。

②をヒントに考えましょう。

三毛猫になるためには、遺伝子Bと遺伝子bを同時に持つ必要がありました。この遺伝子Bやbは、X染色体上にある遺伝子でしたね。

つまり、遺伝子Bと遺伝子bを同時に持つためには、X染色体が2本ある必要があります
違った書き方をするならば、三毛猫の遺伝子型は、aaHHXBXbもしくはaaHhXBXbとなっている必要があります。

しかし、オスの場合にはaaHHXBYaaHHXbYといった具合に、X染色体が1本しかありません。その為、遺伝子Bと遺伝子bを同時に持つことができないのです。
逆にメスの場合には、X染色体を2本持つため、遺伝子Bと遺伝子bを同時に持つことができます

見出し

③の解答

正常なオスではX染色体が1本しかなく、遺伝子Bと遺伝子bを同時に持つことができないが、メスはX染色体を2本持つため、遺伝子Bと遺伝子bを同時に持つことができるから。

④の解き方

④あなたはオスの白猫とメスの三毛猫を飼っているとする。この2匹から16匹の仔猫が産まれ、そのうち1匹が三毛猫であった。親であるオスの白猫とメスの三毛猫の遺伝子型を答えよ。なお、白色遺伝子、茶・黒遺伝子、まだら遺伝子の3組の対立遺伝子は、それぞれ独立の関係にある。

16匹の仔猫のうち1匹が三毛猫であったということですね。
つまり、1/16の確率で三毛猫が産まれるような組み合わせを考えろ、というのが問題の趣旨です。
三毛猫の遺伝子型はaaHHXBXbあるいはaaHhXBXbであることから、その遺伝子型をどのように達成してくのかを考えていきます。

では、遺伝子一つ一つについて整理していきましょう。

まずは白色遺伝子について考えてみます。
もしもオスの白猫の遺伝子型がAAであるならば、仔猫も遺伝子Aを必ず持つはずです。
そうすると、仔猫も必ず白猫になるはずですが、問題文からは、少なくとも1匹は三毛猫が産まれるとあります。
その為、オスの白猫は遺伝子aも持っていると分かり、遺伝子型はAaと推定できます。

メスの三毛猫の遺伝子型はaaです。
オスの白猫の遺伝子型がAaである場合、仔猫の遺伝子型がaaになる確率は1/2となります。

次に茶・黒遺伝子についてです。この遺伝子はX染色体上にありますが、オスの白猫はX染色体を1本しか持ちません。
そのため遺伝子Bのみを持つ(性染色体で表現するとXBY)、あるいは遺伝子bのみを持つ(性染色体で表現するとXbY)かの二択になります。

この場合、メスの三毛猫の遺伝子型はXBXb(Bb)です。
図の通り、オスの遺伝子型がXBYでもXbYでも、仔猫の遺伝子型がXBXb(Bb)となる確率は1/4となります。

ここまでをまとめると、仔猫が三毛猫になる確率は今のところ
1/2×1/4=1/8
です。

ということは、残りのまだら遺伝子で、仔猫の遺伝子型がHHやHhになる確率が1/2であれば良いということになりますね。
言い換えると、1/2の確率で白まだら模様を持つようになればOKです。

まだら遺伝子について、オスの白猫は遺伝子型がHHなのかHhなのかhhなのかはわかりません。しかし、メスの三毛猫の遺伝子型はHHかHhです。

オスの白猫の遺伝子型がHHと仮定しましょう。
この場合、メスの三毛猫の遺伝子型がHHであってもHhであっても、すべての仔猫の遺伝子型がHHやHhになってしまいます。これは条件を満たしません。

オスの白猫の遺伝子型がHhとしましょう。
この場合、メスの三毛猫の遺伝子型がHHの場合は、すべての仔猫の遺伝子型がHHやHhになってしまいます
メスの三毛猫の遺伝子型がHhの場合は、3/4の確率で仔猫の遺伝子型がHHやHhになります。これも条件を満たしません。

オスの白猫の遺伝子型がhhの場合を考えましょう。
この場合、メスの三毛猫の遺伝子型がHHの場合は、すべての仔猫の遺伝子型がHhになってしまいます。これは条件を満たしません。
メスの三毛猫の遺伝子型がHhの場合はどうでしょう。この場合は、1/2の確率で仔猫の遺伝子型がHhとなります。これは条件を満たすパターンですね。

以上の結果から、オスの白猫とメスの三毛猫の遺伝子型を決定することができます。

Answer

④の解答

オスの白猫 :AahhXBYまたはAahhXbY
メスの三毛猫:aaHhXBXb

まとめ

どうだったでしょうか?難易度はそこそこ高かったのではないかと思います。それに伴って解説もかなり長くなりました。

文章にするとかなり長い解説ですが、頭の中で考える場合はもう少しシンプルかもしれませんね。

いずれにしても、常染色体上の遺伝子と性染色体上の遺伝子が互いに影響しあう、やや複雑なタイプの伴性遺伝でした。

三毛猫の問題は性染色体の不活性化や、性染色体異常などさまざまな問題につなげやすいテーマでもありますので、どのような内容なのか一度は理解しておくことは有益かと思います。じっくり復習してください。

伴性遺伝のうち、ヒトの遺伝病を題材にした問題についてはこちらをご覧ください。

ちなみに、オスの三毛猫が産まれる可能性もごくわずかにあります。

可能性としては以下の3つが考えられます。

①染色体異常(クラインフェルター症候群)
性染色体の異常により、XXYという性染色体パターンをもったオスが産まれることがあります。この場合、XBXbYという遺伝子型がありうるため、三毛猫になります。
ダブっているX染色体の一方は不活性化されるため生存には影響しませんが、このオスの三毛猫は生殖能力を持ちません。

②モザイク
突然変異により、XBYのオスにXbが発現したり、もしくはその逆が起こることによってオスの三毛猫になる場合があります。極めて稀な例です。この場合は生殖能力を持ちます。

③遺伝子BがX染色体からY染色体へ乗り換え
X染色体上にあった遺伝子BがY染色体に乗り換えた結果、XBYbのような遺伝子型を持ち、三毛猫になる場合もあります。これも非常に稀な例です。この場合のオスの三毛猫も生殖能力を持ちます。

クローンを作製すると、普通は遺伝的に全く同じ個体が誕生します。もしも白猫のクローンを作製すると、必ず白猫が産まれます。
しかし三毛猫のクローンを作製すると、確かに三毛猫は生まれるのですが、模様が必ずしも同じになるとは限りません
どの場所でどのX染色体が不活性化するかは、完全にランダムであるからです。例えばクローン元の三毛猫では、たまたま額の部分でXBが不活性化したとしても、クローンした三毛猫でも同じ額の部分でXBが不活性化するかどうかは分かりません。

こんなに長い記事を最後まで読んでくださり、ありがとうございます!
それでは!

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