DNAや遺伝子に関する問題のうち、「ゲノムの何%が遺伝子?」と聞かれるような問題があります。今回はそのような問題の解き方を解説していきましょう。
ゲノムと遺伝子の違いが判らない場合には、こちらの記事も参照しながら復習しましょう。
例題
まずはこの例題を見てみてください。
ある生物のゲノムは1.0×107塩基対から構成されている。
また、タンパク質をコードしている遺伝子が5,000個ある。
これらのタンパク質は、平均で500個のアミノ酸から構成される。
この時、ゲノムのうち何%が遺伝子として働いているか?
どこかで見かけたような典型問題ですよね。
これを解くためには、ちょっとした基礎知識が必要です。それは、「1つのアミノ酸にはDNA3塩基対が対応している」ということです。つまりは、翻訳に関する知識ですね。
解き方
では解き方を説明していきましょう。
まずは、合計でいくつのアミノ酸ができるのかを考えていきます。
タンパク質をコードしている遺伝子が5,000個ある、つまりタンパク質は5,000種類できるということですね。
そして、それぞれのタンパク質は500個のアミノ酸からなっている。
ということは、アミノ酸は合計で
5,000×500=2,500,000個
できるということが分かります。
遺伝子が1つあれば、タンパク質が1つできます。
逆も然りで、タンパク質が1つあれば、遺伝子が1つあるということです。
さて、次はアミノ酸2,500,000個を作るためには何塩基対のDNAが必要なのかを考えていきましょう。
アミノ酸1個を作るのには塩基対が3つ必要ですね。
ということは、アミノ酸2,500,000個を作るために必要なアミノ酸は、
2,500,000×3=7,500,000塩基対
ということになります。
この7,500,000塩基対分のDNAが、タンパク質をつくるための遺伝子として働いていることになるわけです。
そして、この生物のゲノム、つまり全てのDNAは1.0×107塩基対であると記されていますね。
そしてこのうち7,500,000塩基対が遺伝子として働いています。
ということは、その割合は
7,500,000÷1.0×107×100=75%
となります。
まとめ
意外と仕組みは簡単ですが、ゲノムとかDNAとか遺伝子とか、そのようなワードがたくさん出てきて、結局何をすればいいのかわからなくなってしまうところに難しさがあります。
丁寧に、何に注目して数値を変換していけばいいのかを追っていくようにしましょう。
DNAの長さを求める問題についてはこちらをご覧ください。
それでは!